お墓を相続(継承)する際の名義変更手続きの流れ
お墓の使用権を取得している人(名義人)が亡くなって、そのお墓を相続(継承)することになった場合、名義変更の手続きが必要になります。名義変更を忘れたままでいると、場合によっては永代使用権を取り消されてしまい、墓地を使用できなくなる恐れもあるため、気を付けなくてはいけません。では、名義変更はどのようにして進めればよいのでしょうか。ここでは、名義変更に必要な書類から手続きの流れまでを詳しく解説していきます。
目次
お墓の名義変更のタイミング
お墓の名義を変更するタイミングは、お墓の使用権を所有している人が亡くなったあとに行われることが一般的です。しかし、名義人が高齢などの理由で生前にお墓を承継者に名義変更する場合もあります。
また、名義人の住所や本籍が変わった、結婚、離婚、養子縁組で苗字が変わったなど、名義人の引継ぎがない場合も名義変更の手続きを行わなければなりません。
お墓の名義を変更する理由は様々ですが、お墓の名義変更は、墓地管理者に対して行います。行政の手続きではないので、お墓を管理している霊園や団体に問い合わせ、手続きを行いましょう。墓地によっては名義変更の届出に期限を設けているところもあるため、お墓の継承が決まったらすみやかに手続きをするようにしましょう。
寺院境内にある墓地の場合には檀家としての務めも引き継ぐことになりますので、早めに挨拶へ出向くのが理想的です。
お墓の名義変更に必要な書類
まず、お墓の名義変更に必要な書類を把握しておきましょう。
・名義変更届
墓地ごとに様式が異なります。墓地の管理事務所でもらう場合や、ホームページなどからダウンロードする場合もあるので事前に確認しておきましょう。必ずお墓のある霊園が所有する名義変更届を提出しましょう。提出する書類には新名義人の実印が必要です。
・墓地(永代)使用許可証
永代使用許可証、墓地使用承諾書とも言われるもので、そのお墓の使用権を取得した契約時に、霊園から発行されている書類です。
・戸籍謄本
戸籍謄本を準備します。以前の名義人と新名義人の続柄を確認するための書類です。以前の名義人が亡くなったことの確認をするため、名義人の死亡年月日が記載されているものが必要になります。古いものは受け付けてもらえないため、3ヶ月以内に発行されたものを提出しましょう。
・新名義人の住民票
墓地を受け継ぐ新名義人の住所を確認するために、新名義人の本籍地が記載された住民票が必要です。
・新名義人の実印・印鑑登録証明書
新名義人の実印と印鑑登録証明書を準備します。印鑑登録証明書は、新名義人の実印を証明するための書類です。発行から3カ月以内のものを準備しましょう。
戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書(印鑑登録カード)は、区役所・市役所等で発行してもらいましょう。マイナンバーカードがあれば、主要なコンビニでも入手できるようになっています。
その他の書類
旧名義人から指定されて継承する場合には「遺言書」などを、親族以外が新名義人になる場合にはその理由が書かれた「理由書」と、本来継承するべき方の印鑑登録証明書を添付した「同意書」を提出する必要があります。
お墓の名義変更をする際の注意点
お墓というのは祭祀財産で相続財産には含まれないため、相続(継承)した場合であっても、法的には何の届出の義務もありません。
ですが、霊園や墓地というのは、あくまでもその場所を借りているのであって、土地の所有権というのは墓地管理者にあるため、お墓の使用権取得者(名義人)は墓地管理者の定めた使用規約や契約内容に従う必要があります。
ほとんどの霊園や墓地は、お墓の名義変更の届け出を義務付けており、それに従わず届出を怠った場合には、その墓地の使用権を失ってしまうこともあるので注意が必要です。
お墓の名義変更にかかる費用
名義変更には手数料がかかります。民営、公営、寺院によって異なりますが、名義変更にかかる費用は5,000円から10,000円が目安です。
お墓の承継者の役割
お墓を相続(承継)するということは、墓地やお墓の維持管理する義務も引き継ぐことになります。お墓の名義変更の手続きが終了し、お墓を承継者になると、どのようなことが必要になるのでしょうか。
お墓のメンテナンス
基本的な役割はお墓の維持と管理です。お墓は代々受け継がれていくものです。定期的なメンテナンスを行いましょう。
お墓は屋外にあるため、砂・ホコリ・土等の汚れが蓄積されます。しかし、様々な理由でお墓掃除が困難な方が増えています。いつまでもきれいなお墓が保てるよう、やまと石材ではお墓のお掃除のお手伝いを承っております。
年間管理費の支払い
年間管理費とは霊園や墓地全体を維持・管理するための費用のことです。お墓の管理費を滞納すると、最終的には永代使用権が取り消され、お墓が撤去される可能性もあります。年間管理料の未払いで永代使用権を失ってしまうのは避けたいところです。
法事・法要の準備
法事の施主を担当することや年間行事に参加することも、お墓の承継者の役割です。
■主な法要の種類
・四十九日法要
・百か日法要…死去から100日目
・一周忌…死去の日から1年
・三回忌…死去から満2年(三回忌は亡くなってから2年後に執り行います)
・七回忌…死去から満6年
・十三回忌…死去から満12年
・十七回忌…死去から満16年
・二十三回忌…死去から満22年
・二十七回忌…死去から満26年
・三十三回忌…死去から満32年
法要は故人の冥福を祈り供養する行事で僧侶を招き読経いただき、参列者は焼香で故人を偲ぶ仏教行事です。法要後に会食をおこない故人を偲ぶことも供養といえます。
■準備すること(2か月前くらい)
・場所、日程を決める
・僧侶の手配
・参列者の手配、案内状作成発送
・会食の手配
・納骨がある場合は石材店に依頼
・準備すること(1か月前くらい)
・僧侶へのお礼として「お布施」「お車代」「御前料」を準備します。
・参列者へのお礼(引き物)表書きは関東では「志」「粗供養」が一般的
まとめ
親などの家族が亡くなって相続人になった場合、お墓以外にも名義変更が必要なものというのはたくさんあります。
主なものとしては、銀行口座や投資信託、生命保険契約、自動車、光熱費の契約、クレジットカードなど。
それぞれに必要な書類が異なるため、全てを1人で行うのが大変な場合には、司法書士や税理士など専門家の力を借りるのもおすすめです。
実際にお墓を相続(継承)することになったときに慌てないためにも、名義変更の手順をあらかじめしっかり理解しておくようにしましょう。
相続に際して、お墓の改葬・リフォームをお考えの方、ぜひやまと石材にご相談ください。