墓誌を建てる意味
お墓で見かける「墓誌」を建てることには、どのような意味があるのでしょうか。墓誌は建てたほうがよいものなのか、そして建てたいと思ったときにはどうすればよいのかなど、墓誌に関して知っておくべきことをご紹介します。
墓誌とは
墓誌とはお墓の敷地内の墓石の近くに建てる石版のことです。
この墓誌には通常、お墓に入っている複数の故人の戒名や俗名、没年月日、年齢などを刻みます。その後、新たに亡くなった人がお墓に入ると、その戒名などを追加していく形になります。
墓誌を建てる意味
墓誌を建てることにはどのような意味があるのでしょうか。まず、お墓に入った人の戒名や没年を記すことで、代々続く親族の歴史を残すことができます。記録を残すだけなら、「過去帳」があればそれで事足りるという見方もありますが、墓地にあることで訪れる人がいつでも見ることができるのは大きな利点です。
また本来、戒名などは墓石に刻むものですが、数が増えると墓石だけではスペースが足りなくなることがあり、墓誌を設置すればそこに新たに亡くなった人の名前を追加して刻んでいくことができます。いわば記録を刻むための専用の石を用意することとなるわけです。
このような代々の墓だけでなく、最近では個人墓でも故人の業績や記録を残すために墓誌を建てるという人が増えています。いずれにしろ、墓誌を建てることには、故人の記録をわかりやすく伝えるという意味があるのです。
墓誌に彫刻する内容について
墓誌のサイズは墓地の面積に合わせて選びます。墓誌の彫刻については、まず一番上の部分か右端に「墓誌」(浄土真宗の場合は「法名碑」)と記し、この部分を天額と呼びます。そして本文を縦書きで右から彫刻するのが一般的です。墓誌の彫る戒名についてはいくつか注意点があります。一つは白木の位牌を見てそのままの内容を彫刻しないことです。白木の位牌には本来の戒名以外に冠字(空、妙法…)、置字(霊位、位)、梵字(梵語(サンスクリット)を表記するための文字)などが書かれている場合があり、こちらは通常彫刻しません。またよく「行年」と「享年」についてどうするかという質問が寄せられますがこちらは諸説あり絶対的なことではありません。どちらでもよいものです。
墓誌はお墓を作るときに必ず建てるというものではありません。しかし、親族の歴史や故人の業績を伝えるものとして役に立ちます。墓誌という選択肢があることを視野に入れて、必要かどうかを検討してみてはいかがでしょうか。