仏壇の種類と選び方
仏壇にご先祖の位牌を置き、供養しているお宅もあるかと思いますが、仏壇とはそもそもどのような意味があるものなのでしょうか。そして仏壇にはどのような種類があるのでしょう。知っているようで知らない仏壇の種類や選び方などをまとめてご紹介します。
仏壇の意味
仏壇は「仏様をお祀りする家の中の小さなお寺」だと言われます。実際に仏壇の内部には、寺院で本尊が祀られている内陣を模した彫刻が施され、その中心には寺院と同じように本尊が祀られています。
仏壇には位牌を納めて先祖を祀るという意味もありますが、寺院と同様に仏壇の中心は本尊です。本尊に先祖が守られていることを日々感謝し、手を合わせることが重要なのです。仏壇を新しく購入したら僧侶に開眼法要を依頼し、本尊の眼を開いて命を吹き込みましょう。亡くなった人はすべて成仏する(仏になる)という仏教の考えに基づき、位牌はその本尊のそばに置かせてもらいます。なお、浄土真宗では位牌は仏壇に置きません。
仏壇の種類
仏壇にはどのような種類があるのでしょう。代表的なのは次の3種類です。
塗り仏壇(金仏壇)
杉、檜、松などの木材に漆塗りを施し、内部は金箔や金粉を用いて荘厳に仕上げる仏壇です。各宗派の本山寺院の姿を模して作られているため、一部形状に宗派ごとの違いがあります。細部には蒔絵・彫刻・錺金具など日本の伝統工芸による意匠が施されており、産地によってもその土地ならではの技法が活かされています。価格は天然の本漆か合成塗料かという塗りの違いや、金箔のグレードによって異なります。
唐木仏壇
黒壇や紫壇など杢目の美しい銘木(希少な杢)を用いた落ち着いた風格のある仏壇です。唐木とはもともと東南アジア産の銘木の総称ですが、屋久杉、桑、欅、桜など日本の銘木を使った仏壇も唐木仏壇と呼ばれます。宗派によるデザインの違いはありませんが、東京唐木仏壇、大阪唐木仏壇、徳島仏壇、静岡仏壇など産地によってそれぞれ特徴があります。価格の違いは用いられる銘木の種類、厚さ、貼り付ける面数などによって決まります。最近は木目調のプリント合板を使った安価な仏壇もあります。
家具調仏壇
現代的なリビングルームなどに合うようデザインされた新しいタイプの仏壇です。洋間にもインテリアのようにマッチすることを考慮してデザインされており、家具調仏壇の他にも、モダン仏壇、現代風仏壇といった呼び名があります。材料はウォールナットやチーク、メープルやナラなど、洋家具と同様のものを使用することが多く、カラーリングも豊富です。現在の住居に仏壇は似合わないと考えているのであれば、こうした製品の購入を選択する方法もあります。
手元供養
新しい供養の形として故人の遺骨や遺品、また、それを加工したものを自宅に置いたり身に付けたりする「手元供養」の製品を仏壇とともに、あるいは仏壇の代わりに購入する人が増えてきています。デザイン性の高いボトル、オブジェ、ペンダントなど様々なものがあり、宗教・形式にとらわれない供養のスタイルとして注目されています。
仏壇はいつまでに用意するもの?
仏壇には買うべき時期のようなものはありません。ただし、それまで仏壇がなかった家では、故人の四十九日にそれまでの白木の位牌から本位牌へと切り替えるタイミングで、仏具店で位牌、仏壇、仏具一式を取り揃えるというケースが多いようです。その場合は位牌に戒名を入れるには2週間ほどかかるので、四十九日から逆算して2週間より前に手配をすることが必要です。また、僧侶に開眼法要を依頼することも忘れないようにしましょう。
仏壇は相続税対策になる?
仏壇はお墓などと同じ祭祀財産に分類されます。祭祀財産は通常の相続財産とは区別される財産で、故人から継承する際に相続税などの税金がかかりません。
つまり、仏壇は非課税で受け継ぐことができるものなのです。もし生前に仏壇を購入しておき、その仏壇を祭祀財産として相続すれば、現金を相続したときの相続税よりも、若干の相続税対策になるということです。仏壇だけでなく、仏具も祭祀財産なので非課税です。
本尊を祀る家の中の小さなお寺である仏壇。今後仏壇の購入を考えている人は、上記を参考に、宗派や仏壇の種類、自分の家の仏壇を置く場所などをイメージしながら仏壇を選びましょう。