お墓の購入や維持、承継に税金はかかるの?
お墓を購入する際や維持している期間、さらにはお墓を継承する際には、消費税、相続税などの税金はかかるのでしょうか。今回はお墓の購入と税金について知っておくべきことについて解説します。
お墓の購入、または維持には税金がかかる?
まず、お墓を購入する際にはどのような費用が必要なのかを整理しておきましょう。新規にお墓を建立する場合は、「永代使用料」+「墓石工事費」+「管理料(管理費)」がかかります。
このうち、永代使用料とは、墓地や霊園の所有者との契約によって、永代に渡ってその墓所(墓地)を使用する権利を得るためにかかる費用です。墓地や霊園にお墓を建てるときは、その土地を購入するわけではないので注意しましょう。そしてこの永代使用料は課税対象とならず、消費税はかかりません。なお、寺院の場合は檀家になるための入檀料を求められることもあります。入檀料は永代使用料同様、消費税はかかりません。
次の墓石工事費は、墓石代金に文字などの彫刻代金、工事費を含めたものです。これは課税対象となり、消費税がかかります。
管理料は墓地や霊園の共用部分、施設などを維持・管理するために必要な費用です。管理料は1年ごとに支払うケースが多くありますが、中には3年ごと、5年ごとに支払うケースもあります。この管理料にも消費税がかかります。
つまり、お墓の購入の際にかかる税金は、墓石工事費と管理料にかかる消費税となります。例えば東京の23区外や神奈川県の永代使用料が40~60万円程度、墓石工事費が100~300万円程度だとすると、管理費は1年で4,000~1万4,000円程度だと言えます。この墓石工事費と管理費にはそれぞれ消費税がかかります。今後税制改正などによって税額が変わるようなときは、購入日を早めるなどの調整をしたほうが良いでしょう。
また、上述のように、管理料は1年ごともしくは、3年ごと5年ごとなど定期的に墓地や霊園に支払うことになります。これらは維持費として購入時以降にも支払うことになりますので、税率が変わると支払い費用が変わることを心得ておきましょう。
お墓を継承するときに税金はかかる?
それでは、お墓を継承するときに税金はかかるのでしょうか。結論を言えば、お墓を相続しても、相続税などの税金は一切かかりません。これは、お墓は一般の相続財産とは異なる「祭祀財産」とみなされるためです。
祭祀財産とは墓地や墓石のような先祖を祀るために必要なものや、先祖代々の家系図などのことです。民法ではこれらの祭祀財産は、相続財産と完全に切り離されており、相続税はかからないのです。
他に祭祀財産に当たるものは?
民法897条には、祭祀財産の種類として「系譜」と「祭具」と「墳墓」の3つが挙げられています。
系譜とは先祖代々の血縁関係のつながりが書かれた記録や絵図のことで、家系図などがそれに当たります。
祭具は祭祀を行う際に使用する器具の総称です。位牌、仏像、仏壇、仏具、神棚などがこれに該当します。
そして墳墓とは、故人の遺体、遺骨が葬られている設備のことです。墓石の他、敷地となる墓地も含まれます。
これらは祭祀財産として相続税対象外とされていますが、ただし、これらのうち骨董的価値があるなど投資の対象となるもの、あるいはこれらを商品として所有している場合には例外として課税対象になる場合もあります。
お墓の購入や維持、継承にかかる費用については、その詳細やそれらにかかる税金の有無をしっかりと把握しておくことが大切です。税金についてもいくらかかるかを事前に確認しておきましょう。